路地の向こうの国
古いくすんだ家と雨に打たれたレンガ塀の間に 細い隠れた路がある 数メートルの通路の向こうに 緑に輝く窓のように 雨模様の空から降る陽射しが光る 突然終わる通路の端にたぷたぷと満ちる水 あの空間を抜ければ向こうは広々とした空と緑に満ちた世界 足をとめて眺める何の変哲もない路地 ほんの数秒憬れと、畏れが、心に膨らむけど きっともうお家に帰る時間
小さな町の、家々の間にある細い路地、その先に広がる緑。おたまじゃくしやトカゲや、名前も知らない虫。
おとなは足早に通り過ぎる普段の街並みに隠れています。
けれども、こどもたちはそんな景色をよく知っていて、彼らの世界で呼吸しているのだと思うのです。